2026年1月期、今泉力哉監督と杉咲花さんが紡ぐドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』。
大きな事件が起きるわけでもないのに、なぜか胸の奥がざわつく。
ゆったりと流れる時間のなかで、小説家の卵・文菜(あやな)の揺れる日常が、静かに、けれど確かに心を掴んできます。
そして私がどうしても目で追ってしまうのが、彼女の衣装です。
AURALEEやBarbourといった上質なブランドに、少しだけくたびれたヴィンテージを重ねる。
その“きれいすぎない”バランスが、文菜という人物の未完成さとどこか重なって見えるのです。
放送後、「どこの服?」「あのコートが気になる」と検索する人が増えているという声が見られるのも、偶然ではないように感じます。
あの服には、ちゃんと感情が宿っているから。
この記事では、最新話から順に文菜の着用衣装を整理しながら、その服が置かれた場面と、私が感じた心の動きを重ねていきます。
クローゼットを開くことは、彼女の内側をのぞくことなのかもしれない。
そんな気持ちで、一緒に振り返っていきましょう。
- 杉咲花さん(文菜)が着用した主要ブランドと具体的アイテム情報
- 古着×ハイブランドを自然に見せるレイヤードのポイント
- 衣装と物語の心情変化がリンクする構造
- 冬から春へと移ろう季節感とスタイリングの関係性
※衣装の心情解釈は筆者個人の考察に基づくものです。
【最新話】第4話:決別と予感。春を待つ「淡色レイヤード」

季節がわずかに動き出し、物語も大きな転換点を迎えた第4話。重いコートを脱ぎ始めた文菜の装いには、どこか吹っ切れたような軽やかさが漂います。
■注目の衣装アイテム
- AURALEE(オーラリー):ライトメルトン・ハンティングジャケット(エクリュ)
- stein(シュタイン):エキストラファインラムウール・タートルニット
■シーン感想と心情
二胡(栁俊太郎)との別れのシーン。これまでダークトーンが多かった文菜が、あえて「白」に近いエクリュのジャケットを選んだことに、彼女の新しい決意を感じました。冷たい冬の空気の中に、春の光が差し込むようなワントーンコーデ。彼女の流した涙が、淡い色の襟元に吸い込まれていく描写は、今泉監督らしい静かな、けれど力強い演出でした。
【第3話】葛藤の夜。執筆を支える「エルボーパッチ・ニット」
小説が書けない焦燥感と、日常の何気ない会話が交差した第3話。家の中や喫茶店でのシーンが多く、リラックス感の中にこだわりが光るスタイルです。
■注目の衣装アイテム
- THE SHINZONE(シンゾーン):カシミア・エルボーパッチニット(ブラウン)
- Levi’s(リーバイス):ヴィンテージ 501(66前期)
■シーン感想と心情
喫茶店で原稿用紙を前に悩み抜く文菜。机に肘をつくたびに見えるパッチ(肘当て)が、彼女の「書き手」としての日常を象徴していました。着古されたデニムと上質なカシミアニットの組み合わせは、背伸びをしないけれど妥協もしない、彼女の不器用な生き方そのもの。成田凌さんとの何気ない電話のシーンでは、このニットの柔らかい質感が、文菜の少しだけ素直になった声を代弁しているようでした。
【第2話】夜の静寂。孤独を包む「Barbourのロングコート」
街灯の下、自分の居場所を探すような足取りが印象的だった第2話。本格的な冬の到来を感じさせる、重厚なスタイリングが登場しました。
■注目の衣装アイテム
- Barbour(バブアー):OS BURGHLEY(オーバーサイズ バーレー)
- stein(シュタイン):ニット・バラクラバ(グレー)
■シーン感想と心情
「付き合えないけど、ホテル行こう」――そんな衝撃的な台詞を吐いた文菜。オイルド風の無骨なコートと、顔周りを守るバラクラバの組み合わせは、まるで自分の心を誰にも侵食させないための「鎧」のよう。防備を固めているのに、その中にある表情は今にも壊れそうで。トレンドのバラクラバさえも、おしゃれ以上に「拒絶」や「孤独」の記号に見えてしまう、杉咲さんの表現力に圧倒された回です。
【第1話】出会いのノイズ。街を駆ける「L.L.Beanのフリース」
物語の始まり、そして文菜というキャラクターを強烈に印象付けた第1話。古着ミックスの真骨頂ともいえる、メンズライクな装いです。
■注目の衣装アイテム
- L.L.Bean(エルエルビーン):80’s ヴィンテージ・バーズアイ柄フリース
- AURALEE(オーラリー):ギザスーパーハイゲージ・リブニット
■シーン感想と心情
冬の冷え込みが始まった夜、初対面の相手の部屋へ向かう危うい足取り。ボリュームのあるフリースが、文菜の華奢なシルエットを際立たせ、どこか「迷子」のような保護欲をかき立てました。古着特有の野暮ったい柄を、インナーのタイトなAURALEEで見事に引き締めるバランス感覚。この「掴みどころのなさ」こそが文菜の魅力であり、ドラマ全体のトーンを決定づけた最高にエモーショナルな第1話でした。
なぜ文菜の「AURALEE」はあんなに魅力的なのか?
ドラマ放送後、特に検索数が増えているのがAURALEE(オーラリー)のアイテムです。なぜこのブランドが「文菜」というキャラクターに選ばれたのかを考察します。
- 素材へのこだわり: 「小説家」という、言葉の細部にこだわる職業を目指す文菜。一見シンプルながら、糸一本からこだわり抜くAURALEEの哲学は、彼女のキャラクター性と深くリンクしています。
- 絶妙なサイズ感: 杉咲花さんの小柄な体格に対して、あえて少しゆとりのあるサイズを選ぶことで、「守りたくなる儚さ」と「誰にも媚びない強さ」を同時に演出。特にリブニットの袖丈の溜まり具合は、今泉作品の「余白の美学」そのものです。
文菜の衣装が示す「冬から春への変化」
ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』において、衣装は単なる飾りではなく、「文菜の心のレイヤー」そのものです。
最新話で見せた春への歩み寄り、そして第1話から積み重ねてきた自分を守るための厚着。降順で振り返ることで、彼女が少しずつ「心の防壁」を脱ぎ捨てていく過程が見えてきたのではないでしょうか。
ドラマの衣装を扱うメディアやSNSの情報をもとに整理されたこれらのアイテムは、どれも長く愛せる名品ばかり。文菜のように、大切な一着を纏って、あなただけの「春」を探しに行ってみませんか?
※衣装情報は放送時点のものであり、公式販売状況は各ブランドの公式サイトをご確認ください。
- 文菜の衣装は「心のレイヤー」を映す演出装置
- 第1話の厚みある古着は、揺らぎと未完成さの象徴
- 第2話の重厚コートは、防御と孤独のメタファー
- 第3話の上質ニットは、葛藤と誠実さの表現
- 第4話の淡色コーデは、再出発と春の予感
- AURALEEの選定は、余白を活かす作品世界との親和性
- 衣装を追うことで、物語の温度と心理の変化が見えてくる



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